超音波式レコード洗浄機の製作

 10年近く前から構想を持っていたLPレコード用の超音波洗浄機がついに完成しましたので記事化しようと思います。
構想開始当時、LPレコード用の超音波洗浄機は既に市販化されたものがありましたが、機種数も少なく、価格も10万円を超えとても手に入れられるようなものではありませんでした。私は通常のレコードメンテナンスにはレイカを使用していて、その仕上がりに特に不満を抱いているわけではありません。あまり多くはない”ジャリ盤”に対して何か有効な手段はないかという点から超音波洗浄を考えているため、そこに10万円以上をつぎ込むことは自分としてあり得ません。安い費用で”自作”することをターゲットにどのような構成部品が必要か、広く市場をウォッチングしていました。

自作レコード超音波洗浄機の構想・コンセプト
・コスト目標は絶対に3万円を超えない。
・ハンディの超音波洗浄機の発振部を水槽に落として使う。
  (洗浄に有効な周波数がわからないので、できれば周波数切替えのついたものがよい)
・レコードのセンタースピンドル穴を貫通する回転軸を中心として洗浄中のレコードを低速回転させる。
・モーターは超安価で低回転減速機構付きのシンクロナスモーターを採用し、ベルトドライブで回転軸を回す。
・センターレーベル部が洗浄中濡れないようにアクリル円盤とOリングでシール機能を持たせる。
・オブジェにもなるよう水槽ケースは透明アクリルとする。
・回転軸の構成は蝶ねじ(長ねじ)、円形断面高ナット、フランジ付きベアリング、回転伝達用プーリー、レーベル押さえアクリル円盤1,2、シール用Oリング、レコード押さえ金具(アンカー)からなる。

 今回の超音波洗浄機の心臓部である発振器はSONIC SOAKを採用していますが、これは数年前に洗濯用途を兼ねてあらかじめ購入していたものです。実際に全体の設計・製作に着手したのは2025年の夏前の事です。SONICK SOAKの購入時価格は今となっては思い出せませんが、1万円代後半で送料も含めて2万円より下だったと記憶しています。現在の入手性はわかりませんがAMAZON等で7000円程度まで価格が下がった形跡があります。現在はSONICK SOAK以外にもハンディの超音波発振器は何種類か売られているようなので発振ヘッド部分の形状にあわせた水槽を作ればよいのではと考えます。

大まかな設計は以下のように行いました。
①アクリルメインケースのサイズ決め
基本的にレコードを立ててその下半分が水につくこと。発振器のヘッドがレコードと干渉しないことを要件にケースのサイズは350mm(幅)×190mm(高さ)×56mm(厚)とし、厚みを形成する側面と底面はアクリル曲げの一体成型としました。
水の容量は35cm×5×{(30-12)/2+3}=175×12=21,000 ⇒ 約2.1リットルです。
➁センターレーベルシール部
センターレーベルの直径を100mmとして、その部分に水がかからない構造を考えます。
部品の構成はOリングとアクリル製円盤型プレート(厚み2種)となっています。
シール自体はLP中央の無音部分にOリングをあてることで実現します。実際に選んだOリングのサイズは内径Φ125で太さ3mmのものです。このOリングを引っ掛けるためのアクリル円盤は外径Φ125mmで厚み2mmです。また1枚目のアクリル円盤の下にΦ130のアクリル円盤をもう1枚セットします。
この組み合わせによって、Oリングはアクリル円盤からレコード側に向かって1mmはみ出すこととなり、この1mmがレコード保持時のつぶれ代となります。
③電気回路
モーターの他、パワースイッチとヒューズ回路を装備しました。
超音波振動機に関しては外部コンセントからの直接電源供給となっています。

事前確認
振動子のテスト。アルミフォイルを用いたキャビテーションテストが推奨されています。

大した設計ではないので、現物の写真に移ります。

これが全体像です。
中央下の白い部分がSONICK SOAKの電源・コントロール部分で、直接AC用のプラグが埋め込まれているため実使用時には、ACの延長ケーブルなどが必要になります。
正面中央部にACシンクロナスモーターを設置しました。モーターシャフトの延長線上にプーリーを設けてレコード回転軸のプーリーに対して、輪ゴムで動力を伝達します。


レコード回転軸にはフランジ付きのベアリングをつけて正面と背面のアクリル板につけた半円の切り欠きにはめ込んでいます。減速機付きのシンクロナスモーターで約80秒で1回転します。

部品表
超音波洗浄機 SONIC SOAK 形式  購入時価格 ¥17,000?  仕様(50kHz)
ケース用アクリル 前後面      各1
ケース用アクリル 側面と底面曲げ物 1
モーター及びスイッチ部のアクリル板(アクリル板 端材カット)
転倒防止用の足(アクリル板 端材カット)
アクリル接着剤
ベアリング
モーター
モーター側シャフト
モーターシャフト用カップリング
モーター側プーリー
受け側プーリー
輪ゴム
スイッチ (NIKKAI)
ヒューズ (1A)
電線(端材利用)
アクリル円盤1(センターレーベル封止)Φ125
アクリル円盤2(センターレーベル封止)Φ131
Oリング Φ125(太さ3mm)
LP押さえ金具(軸穴径 Φ6mm、フランジ径 Φ18mm)
高ナット(M4-外径φ6mm 高さ3種)
M4長ボルト(首下50mm)
蝶ナット(M4)

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