定インピーダンス(600Ω)アッテネータの設計・製作

前回記載したブロックダイヤグラムを確認いただければわかりますが
プリアンプはチャンネルデバイダ機能を有した、段間トランス結合の5692の2段増幅
という構成になっています。
このアンプには2つの大きな特徴があります。
1)定インピーダンス(600Ω)タイプのブリッジT型アッテネータを設計・作製し
 ボリュームコントロールとして搭載。
2)ボリュームコントロールの出力負荷となるマッチングトランスには2次側巻き線が
 2組のものを採用し出力を高域用と低域用に2分割していて、分割後に2段目の
 増幅回路を置く。
その他の特徴としては
3)帯域分割後のレベル調整用として高域側にMAX-16dBのブリッジT型アッテネータを
 投入。
今回から定インピーダンス(600Ω)タイプのブリッジT型アッテネータの設計・製作に
ついて記事にしたいと思います。実際の設計・製作は2006年頃の話です。
本日は600Ωラインに挿入する定インピーダンス・アッテネータの設計について記載します。
ブリッジT型アッテネータを模式的にあらわすと下図のようになります。

ここで入出力のインピーダンスをR=600Ωにとる場合、図中のR1,R2の値は
R1=R*(10^(G/20)-1)
R2=R/(10^(G/20)-1)
G:減衰量(dB)
となります。
注)*は掛け算, / は割り算, ^はべき乗 です
アッテネータに利用するロータリースイッチとしてSeiden の56SGタイプを
候補に考えました。
アッテネータ設計の時点でアンプの仕様が決まっておらず、インピーダンス
600Ωだけを決めていたためアッテネータの最大減衰量や可変ステップ数は
お金はかかってしまいますができるだけ自由度が高くなるように設定しました。
その結果、34ステップ切り替えで最大減衰量74dBでAカーブ特性を得ることを
目標として各ステップ位置の抵抗値を計算し、E24系列の抵抗値で近似しました。
採用した抵抗値の結果を下表に示します。


E24系列で近似した場合の減衰特性カーブとインピーダンスを示します。

なんとかAカーブ近似でインピーダンス誤差も3.7%以内に収めることが
できました。
このE24系列の抵抗値を採用して、Seidenの56SG(56006)を使って製作に
進みました。抵抗の選定以降については次回以降の記事にします。
※この記事を参考にしてブリッジT型アッテネータを製作したいということでしたら
上記の抵抗値算出式
R1=R*(10^(G/20)-1)
R2=R/(10^(G/20)-1)
のRを希望するインピーダンス値(Ω)にかえてGに”減衰量”(dB)(減衰量なので
正の数値)を代入し、=から右側をエクセル等の表計算ソフトのセルにコピー&ペースト
すれば必要な抵抗値が算出されます。但しこの計算結果どおりの抵抗は存在しないので
計算結果を基準にして使用するE系列のなかの近似値に置き換える必要があります。

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