中高音用パワーアンプ (2A3 全段トランス結合A1級シングル)

自作の中高音用パワーアンプを紹介します。(最初の製作は2003年, 2011年に最終改造を行っています)
まず回路図(全図)を掲載します。



本アンプの設計コンセプトは
1) 全段トランスドライブで初段にパワーチューブを配し、インターステージをパワードライブする。
2) 出力管の2A3はフィラメント電圧が2.5Vと低く比較的ハムノイズに対して有利なためAC点火とする
3) 電解コンデンサを一切使用しない。(現状回路ではハムノイズ対策のためB電源回路の最終部に1本だけ使用)
4) 2A3はRCAデータシートの典型的な使用例にほぼ沿った動作点とする。
  ・PK間電圧250V,グリッド電圧-41V
  ・出力を多く要求しないため、負荷抵抗は歪の点で有利となる様に高めの6kΩに設定
としました。
電源トランスはタムラPC3003を使用しました。このトランスには2A3シングル・ステレオアンプにちょうどよい2.5V巻線が2回路あります。B電源はトランスの320V巻線を利用し整流管5U4Gを使って2A3プレートにDC290Vを供給しています。コンデンサインプットのパイ型フィルター回路で、整流管の直接負荷となる1次側のコンデンサの容量は5U4Gの耐久性を考慮して5μFに抑えています。チョークコイルはタムラのA4004を使用しています。
入力トランスは同じくタムラのTKS50で通常は600Ω入力のみを使用しています。
初段管には6F6を3極管接続しインターステージトランス タムラB5003をドライブしています。
このアンプの写真を掲載します。

全景
出力管2A3と初段管6F6
整流管5U4G(右端)
 内部配線全体
フィルムコン(Solen)を多用
トランス回りの配線
電源回り(1)
電源回り(2)


2011年の改造はほんの少し聞き取ることの出来るハムノイズの低減にありました。
タムラのチョークA4004は接続方法を変えると小電流-高インダクタンス(10H-200mA)と大電流-低インダクタンス(2.5H-400mA)の使い分けが可能です。元々2組ある内部コイルを直列に接続して10H仕様にて使っていたものを中点にコンデンサを追加してダブルパイ型にする改造を試みましたが反ってノイズが増えてしまい結局通常のパイ型1段に戻しました。直列コイルの中点にコンデンサを追加してダブルパイ型にするのはプリアンプの改造時ハシモトのチョークを使って成功した経験があり、同じことを本アンプでも試みましたがタムラのチョークではこの手は使えませんでした。写真に見える電源関連配線の銅箔シールドおよび電解コンデンサの追加はこの改造の際に行ったものです。
2A3の出力は3.5Wに届いていませんがALTEC 288Cのドライブにはまったく不足感はありません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました