スピーカー・ユニットの自作⑬ 磁気回路の検証

2014/6/24追記
磁気回路の再検証記事をアップしましたので以前の検証記事の計算部分には訂正線を引いておきます。
以下本文
今回製作したスピーカーユニットの一番大きな特徴は磁気回路がフィールドコイル(励磁式)となっている点です。
実は今回磁気回路の設計にあたって本来一番重要なギャップ部分の磁束密度に対して何の計算もせずにたった1回分解したMagnavoxのP232の記憶を頼りにエイヤーで行ってしまいました。製作完了後何とかまともな音が出たからいいようなものの大博打だったことは否めません。
そこで遅ればせながら今回製作したユニットの磁気回路部分の設計を後からですが検証してみたいと思います。

まずは定数として

真空の透磁率=1.25664E-06

センターポールとヨーク枠に使用したSS400材の比透磁率=2100, 磁気飽和(T) 2.30, 保磁力(A/m) 80.0

と設定します。

フィールドコイルについては

使用したφ0.18で1kgのエナメル線の長さは4,418mもあります。フィールドコイルの平均巻き径は59mmで1巻きあたりの線長は185.4mmです。巻き数を計算するとなんと23,835回です。

巻き数(N)=23835.47588

フィールドコイル電流=0.07(A)

の時アンペアターンNIは

NI= 1668.483312

となります。

次に磁気回路の磁気抵抗を計算します。

センターポールはφ28.0mmですので断面積は0.000615752㎡

またセンターポールの長さ102mmとSS400材の比透磁率2100から

センターポール部分の磁気抵抗Rcpは

Rcp=磁路長/(真空の透磁率×SS400材の比透磁率×断面積)

Rcp=0.102/(1.25664E-06×2100×0.00061572)

=62771.87

となります。

次にヨークのケース部分を計算します。ケースは箱型になっていて、ポールピースからでた磁力線がギャップ部分通過後左右に分かれてポールピースの反対側でまた合流すると仮定します。

片側の磁気抵抗を計算すると

磁力線の通過方向に対するヨーク板の断面積は110mm×9mm=0.0099㎡で

磁路長は(125/2)mm×2+90mm=0.215mです。

同じようにRyk1を計算すると

Ryk1=0.215/(1.25664E-06×2100×0.0099)

Ryk1=8229.512となります。

反対側Ryk2も同じくRyk2=8229.512です。

合成抵抗RykはRyk1,Ryk2の半分の値となるため

Ryk=4114.76となります。

次にギャップ部分の磁気抵抗を計算します。

ヴォイスコイルの径はおおよそφ29.0です。周長L=29.0×π=0.0911mです。

ギャップ部分のヨークフロントプレートの厚みは15mmですからこの部分の断面積Sgpは

Sgp=0.015×0.0911=0.001366となります。

ヨークのフロントプレートの穴はφ32.0ですからギャップの幅=(φ32.0-φ28.0)/2=0.002mとなります。

したがって磁気抵抗Rgpは

Rgp=0.002/(1.25664E-06×0.0911)

   =1164611.31

と計算されます。

合成された全体の磁気抵抗Rは

R=Rcp+Ryk+Rgpですから

R=62771.87+4114.76+1164611.31

R=1231497.933

となります。

ギャップ部分の磁束φ[Wb]は、磁気回路のオームの法則より φ=NI/Rから

NI= 1668.483312

R= 1231497.933

φ[Wb]= 0.001354841

となります。

一番知りたいギャップ部分の磁束密度B[T]は

磁束φ[Wb]をSgp=0.001366で割れば計算できます。

B[T]=0.001354841/0.001366

B[T]=0.99140031

です。古いスピーカーユニットのギャップ部分の磁束密度表記でおなじみの

gaussに変換するには10,000倍すればいいですから

B=9,914gaussと計算できました。(フィールド電流70mA時)

フィールド電流は可変できるように供給電源を設計していますから例えば

電流60mAでは磁束密度は6/7倍となり、8,498gaussまで下がることになります。

何とかユニットのカタログでみられる一般的な値に収まっていることがわかり安心しました。

また磁気抵抗の計算をしていくうちに気が付いたのですがギャップ部分の磁気抵抗が全抵抗の94.5%もしめています。作りやすさのためにヨーク側の穴をもう1mm大きく開けていたらギャップに必要な磁束密度が得られなかったかも知れません。


Webでいろいろ検索してギャップ部分の磁束密度の計算方法を調べ、本ユニットにて計算してみましたが、何か大間違いをしでかしているかもしれません。このblogをお読みの方で間違いを見つけられた方は是非ご指摘・ご教授をお願いいたします。

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