500Hz LCチャンネルデバイダ―

今さらという感じはしますが私のシステムで使用しているチャンネル・デバイダーを記事にします。
回路自体は6SN7使用2段増幅プリアンプの記事に一度記載されています。
このチャンネル・デバイダーは対応するスピーカー・システムとしてアルテックのA5を想定しています。即ちウーファーとドライバーとのクロスオーバー周波数は500Hzを基本としています。
スピーカー出力に挿入するネットワークではありませんので負荷はスピーカーではないのでユニットのインピーダンスは何ΩタイプのA5システムにも使用可能です。

私のプリアンプは構成上6SN7の一段増幅ののち、UTC社A25トランスを使って6SN7出力をインピーダンス600Ωまで変換しています。続いて、この600Ωラインにメインボリュームとして600ΩのブリッジT型可変抵抗を挿入しています。ボリューム調整後の600Ωラインの後ろには同じくUTC社のA20を使って150Ω出力を2ch得ています。
 今回記事にするチャンネル・デバイダーはクロスオーバー周波数500Hz,クロスオーバー特性12dB/octとなっています。今回は素子にLとCを使って、12dB/octのスロープを実現させました。ネットワーク出力を受ける回路は後段の6SN7のグリッド抵抗470kΩです。この手のLC回路は負荷はできるだけ高くする必要あるためグリッド抵抗470kΩを選択しました。
入力インピーダンス150Ω,負荷抵抗470kΩの条件下で、クロスオーバー500Hzを規定するLC素子の定数はLC=(Rin+Rout)/((2πf)^2*Rout)で規定されますので、この式を満たすLCの定数組み合わせから、サイズや価格を考えながら現実的な組み合わせを探っていきます。結果としてはL=8.5mH, C=12μFとなりました。
LもCも購入時の価格は忘れてしまいましたが、同等品をwebで確認したところ、8.5mHの空芯コイルタイプは現在1個US$167で販売されています。L=4mHを使ってクロスオーバー500Hzを実現するにはCを25μFにすればよいので価格を考えるとLは小さく、Cを大きくする方がスペースも使いませんし、コストも安上がりです。
ちなみに3.9mHのインダクターはUS$100です。インダクターはL/Rおよび高低用で合計4個必要です。US$67/個の差がありますので4個ではUS$270もの差に膨らみます。このLCチャンネルデバイダーを製作した2006年当時に私は何を考えていたか今では思い出せませんが、L=8.5mH, C=12μFの組合わせで製作しています。
L8.5mHに組み合わせるキャパシタの値でクロスオーバー周波数を変えることが可能です。今回はクロスオーバー3ポジション500,480,520Hzとしました。キャパシタの容量1μFの増減でクロスオーバー周波数は20Hz変動します。(Cを増やすとfは下がります)
実際製作して切り替えてみましたが、500Hz±20Hzではその違いを明確に聞き分けることはできませんでした。500Hz以外のポジションはあってもなくてもあまり問題にはなりません。変えるなら最低でも100Hz位ずらさないと意味がないでしょう。
写真を掲載します。8.5mHの空芯コイルの直径は5.3cmもあります。これが4個ではプリアンプには収まりませんので完全に別筐体仕様になっています。デザインはプリアンプと合わせてTAKACHIのSLシリーズを選択しています。
LとR、HighとLowで4chの入力と4chの出力があり、それぞれをキャノンプラグ付ケーブルでプリアンプとの信号授受を行っています。また背面パネルに若干の余裕があったため、2種類のパワーアンプと2種類のユニットの接続の組み換えが簡単にできるようスピーカーケーブルの中継端子を設けています。高音用の中継端子にはこれを嫌う人もいらっしゃるようですがドライバー破損防止のために20μFのコンデンサを直列に挿入し低域をカットしています(288が16Ωとするとカットオフは497Hzとなり聴感上は問題ないが、少し高すぎる)。空芯コイルはまわりの磁界の影響を受けやすくLCRイコライザアンプの漏えい磁束の影響を強く受けてしまいましたので、イコライザアンプの電源部を別筐体に移設することになってしまいました。
デバイダ―とその前後の回路画像を添付しておきます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました