プリアンプの小改造(トーンコントロール追加)

自作のフィールドタイプフルレンジユニット製作・調整にここ半年余りを費やしてきました。結構満足できるレベルまで仕上がったと自負していましたが、メインのA5型システムを久しぶりに鳴らしてみたところ全体のスケール感と特に高域が早く落ちてしまうところに不満を感じてしまいます。そこで自作ユニットをもう少しうまく再生するためにプリアンプを小改造して、トーンコントロール回路を追加することにしました。プリアンプの背面は入力系統の他にチャンネルデバイダ―用の入出力等キャノンのレセプタクルが並んでいます。ここに予備が入力1系統、出力2系統分あり、ここを活用して必要な時にトーンコントロール回路を経由できるようにしようと考えました。

トーン回路としてはCR型を選択しました。トーン部分の回路を示します。

BASS部分は400Hz, TREBLE部分は3kHzから調整ができるようになっています。
回路の左側部分がTREBLE回路で、右側部分がBASS回路です。
詳細は省きますが、BASS回路部分に記載されているR1=9.1kΩとR2=1.6kΩの抵抗と4個のコンデンサの時定数の組合せで調整周波数が決定されています。
TREBLE回路 基準周波数=3,000Hz
 増強側コンデンサ容量C1=1/(2πf・R1)=159/(fH〔Hz〕*R1〔KΩ〕)=159/(3000*9.1)=0.005824 [μF]
 減衰側コンデンサ容量C2=1/(2πf・R2)=159/(fH〔Hz〕*R2〔KΩ〕)=159/(3000*1.6)=0.0331 [μF]
BASS回路 基準周波数=400HZ
 増強側コンデンサ容量C3=1/(2πf・R1)=159/(fL〔Hz〕*R1〔KΩ〕)=159/(400*9.1)=0.0437 [μF]
 減衰側コンデンサ容量C4=1/(2πf・R2)=159/(fL〔Hz〕*R2〔KΩ〕)=159/(400*1.6)=0.248 [μF]
CR型のトーン回路は、前段の出力インピーダンスを低く、次段の入力インピーダンスを高くする必要があります。本プリアンプは通常外付けのチャンネルデバイダ―を使用しますが、ちょうどその部分はインピーダンスの受け渡し条件が同じなのでここにトーンコントロール回路を挿入することにします。ただし、このCR型トーン回路は約16dBの挿入損失がありますので損失分のゲインをどこかで補う必要があります。幸いなことにプリアンプのファイナル段は高音用と低音用で2回路有りますので、フルレンジ使用時にはチャンネルデバイダ―は不要となるのでファイナル2段を外付けのキャノン入出力を使ってシリーズに接続すれば損失するゲインを補てんできるのではないかと考えました。トーンコントロール回路を挿入後単純にプリアンプのファイナル段を2段シリーズ接続して音を出してみましたが、ゲイン不足を解消するには至りませんでした。どうやらファイナルを2段そのままつないでも1段目の出力部に入っている6SN7の出力トランスが600Ωにインピーダンス変換してしまうためゲインが下がり、あまり効果がないのではと思います。そこで、トーンコントロール後の受けを通常低音用に使っているファイナル段に固定し、このファイナル段の出力インピーダンスを変えるようにしてみました。方法としては背面パネルに6Pスイッチを1回路設け通常時は6SN7出力を従来のUTC S11トランス経由にし、シリーズ接続時には25kΩのプレート抵抗(実際は次段のグリッド抵抗470kΩとのパラ接続)に切り替えるようにしました。またチャンネルデバイダ―を使用しないのであれば、トーンコントロール回路前のUTC A20トランスも不要になりますので、600ΩのT型アッテネータの出力をダイレクトに別系統で出力することによりA20の挿入損失6dBを回避できるようにしました。この2点の改造でゲインについての問題は解決しました。
プリアンプの全体回路を掲載します。

 このトーンコントロール回路の調整範囲と自作ユニットとの相性は効き始めの周波数を高・低音ともにもう少し中央よりにした方が良いかなという印象がありますので、今後の課題としたいと思います。
例えば高音側の動作基準周波数を3,000Hzから1,500Hzにする(半分にする)場合はC1とC2の容量を2倍にすればいいことになります。低音側も同じで動作基準周波数を400Hzから600Hzへ1.5倍にするためにはC3,C4の容量を2/3倍にすればいいことになります。もう少し聞き込んでから追加改造をするつもりです。
また、高音部分の足らない部分を補うために本フィールドタイプフルレンジにA5用の288Dユニットを追加してマルチアンプドライブすることも可能ですので、288Dと自作フルレンジユニットの感度差を調整するために288D側をドライブする高音用の出力段ATTの前に15.5dBゲインを減衰させる600Ω用のブリッジT抵抗回路をフロントパネルスイッチで挿入できる様な改造もついでに行いました。
今のところトーンコントロールを使うよりは288Dを適当なレベルで追加する方がしっくりした感じになっていますのでトーン回路の改造はこのマルチ2Wayのバランスを目指したいと思います。

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