自作ユニット搭載・樽スピーカーのユニットタンデム化

これまで2種類の自作フルレンジユニットの設計製作について紹介してきました。
箱については1号機製作の際にヒノキの樽型後面開放型箱を採用し、2号機製作の際はユニットを入れ替えて使っていました。

(樽スピーカーのユニットは2号機に換装)
最近、この樽型エンクロージャーに1,2号機の2台を前後同軸上に取付けユニットそれぞれの単独運転、連動運転ができるように改造を行いました。

(樽スピーカーの裏側に取り付けられた1号機ユニット)
また連動運転時には、後ろ側を向いたユニットを正相、逆相再生ができるように端子台構成を工夫しています。メインは2号機ユニットですが、後面に配置した1号機ユニットを鳴らさなかったり、鳴らしたり、逆相接続したりしてどのような変化を生むのか実験することが目的です。
2号機の製作にて9インチフルレンジユニットとしてレンジの広さはないものの軽快で弾むような再生音に満足していたのですが、普段ほとんど聞かない8,90年代のフュージョン系の音楽を再生してみたとき、レンジの狭さは如何ともしがたく まったく楽しくないという事態に直面しました。ソースに問題があるのかとウーファーをMagnavox P232に換装したA5型マルチに切り替えたところあらためてスケール感の違いを感じることとなりました。そこで思いついたのが自作1号機と2号機をタンデム搭載して再生させることです。
一般的には低音の再生能力は低音ユニットの面積に比例し 30cmユニットを2個使うと38cm相当になるといった記事を昔読んだ覚えがあり、9インチユニット2個でもしかすると口径30cmのユニット相当の低音再生能力が得られるかもしれないと考えました。
現状のスピーカーエンクロージャーは口径約40cmの底板を持つ樽型で片方の底面に丸穴をくりぬいてそこに2号機ユニットが顔を出すように配置しています。樽の反対側は完全な開放型構造になっています。
この反対側を利用して1号機ユニットを取り付けたらどうなるのか、試してみたくなりました。
幸いなことに樽購入時に蓋用の丸板を同時購入していましたので、それを後面のバッフル板として利用しました。但し、後面開放型の利点をスポイルしてしまうことも考えられますので、この後面のバッフル板は取り外しが可能となるようにしています。幸いなことに1号機も2号機もフレームレス構造ですので、ユニットの取り付けにバッフル板を利用していないのでこのような荒業も可能です。

後ろ側のユニットは我が家のリスニングルームでは壁を向いていますので壁に反射をさせたのちに聴取位置に届くことになります。その際、後面側のユニットの位相を正相・逆相切り替えができるようにしておいて好みに合わせてみたいと思います。
1つのエンクロージャーに2種類のユニットを組み込んで再生させる際の組合せは単純に考えてもどちらのユニットをリスナーに向けるか、ユニットを1台のみ鳴らすのか2台鳴らすのか、2台の場合は正相か逆相かなど多くの選択肢が存在します。その上に1号機のバッフルの有無や休止しているユニットにフィールド電源を供給するのかしないのか、ユニットのボイスコイルをショートさせて電磁ブレーキをかけるかオープンにして電磁ブレーキは掛けないかなども加味すれば音を変える要素は非常にたくさんとなります。

まずは、手持ちのフィールド電源で2ユニットの両方をならせるか否か考察します。
私のメインシステムにはMagnavoxのP232 15インチタイプのフィールドユニットを使っています。
このユニットの供給電源は最大360V,70mA程度となっており、私の電源装置はそこまでの電力供給が可能となるようなスペックを備えています。出力電流については70mA以上を供給できるような能力を持ち合わせていませんので自作ユニット2台のフィールドコイルは必然的に直列に接続することなります。
その場合どの程度の電流が供給できるでしょうか?2種類のユニットのフィールドコイル抵抗はMagnavox 5.3kΩに対して半分強の2.8kΩであることから直列接続すると、電流は若干少なめ、電圧は若干大きめに出ることが予測されます。実際につないでみたところ目論見通り2直列のフィールドコイルに対して400V-60mAの供給が可能であることが確認できました。
スピーカーユニットへの供給電源切り換え回路について、
フィールドコイルへの給電装置はMagnavoxと共用していますのでまずはメインスイッチが必要です。
SP1,SP2それぞれを入り切りし、直列につなぐために6Pスイッチを2個用意しました。
メインスイッチと合わせて3個の6Pスイッチにて電源の切り替えを行います。
回路は以下の通りです。

ユニット1と2のボイスコイル信号は陸式ターミナルを2系統分用意しました。ユニット1と2は直列接続としてトータルのインピーダンスを16Ωとして使用します。
ユニット1と2の間はジャンパー線にて接続します。
高音の再生特性を持ち上げるために...
1号機ユニット製作時の不満点は高音不足にありました。それを解消するためにダブルコーンにしたりプリにトーンコントロールを入れたりしていました。
2号機は磁気回路の見直しによりシングルコーン、トーン調整なしでもそれなりに高音の再生は可能です。
とはいえ、やはりまだ少し足りない印象があります。そこで今回新しい試みを考え付きました。
シリーズに接続されている後面側の1号機ユニットのボイスコイルにパラでCR回路を接続してみることです。
このCRは直列として1号機ユニットのボイスコイルにパラで接続すると、VC回路全体の高域側のインピーダンスが低下します。このCR回路への高域信号分流により後ろ向きの1号機の高音再生能力は低下します。表面の2号機にとっては1号機ユニットの高域インピーダンス低下の影響により、電流の高域成分が増えることが予想されます。
壁の反射はできるだけ低音域のみとして、直接リスナーに向いている2号機ユニットの高音再生レベルを上昇させるという一石二鳥のアイデアですが果たしてうまくいくのでしょうか?
片チャンネルあたりに手持ちのDaleメタルクラッド抵抗(6Ωが1個)とコンデンサ(20μFが2個)で実験回路を組んでみました。
コンデンサは1個使用時20μF,2個直列時の10μFをジャンパークリップで選べるようにしてあります。

最後に遊びついでにバスエナジャイザーも接続してみたところ潔癖症のピュアオーディオとは対極にある遊び満載自己流オーディオ装置としてとても楽しい再生音楽を奏でてくれます。
現在のセッティングは以下の通り(この先変わるかもしれません)
フロント側2号ユニット、リア側2号ユニットのタンデム再生(リアは逆相)
リアユニットへのCR回路介入有、Cは20μF  fcは1,300Hz
励磁電流 50mA(2ユニット直列接続)
リアバッフル=あり
バスエナジャイザー=使用

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