頭の体操(LCRイコライザの考察) 4

その他のイコライジングカーブへの対応
今回RIAAを中心に他のイコライジングカーブも含めた考察を行っています。

ここに出てきた各種カーブの出力特性を示します。


①NAB
原回路にLCRの理論値を代入するとともに内部抵抗分を加味して計算してみました。
R1= 451 Ω
R2= 600 Ω
R3= 174 Ω
R4= 500MΩ
Ro= 600 Ω
R11=12.1 Ω
R22=4.4 Ω
L1= 1.15 H
L2= 0.06 H
C1= 3.21 μF
C2= 0.125 μF

1kHzの偏差を0dBとすると高域が+側に1dB以上の出力増加がみられ、低域側は反対に10Hzで-0.5dBとなり全体にハイ上がりの傾向です。
このままでは偏差が大きいため、LCR値をカットアンドトライで調整してみました。
R1= 450 Ω
R2= 600 Ω
R3= 160 Ω
R4= 25000 Ω
Ro= 600 Ω
R11=12.1 Ω
R22=4.4 Ω
L1= 1.15 H
L2= 0.069 H
C1= 3.3063 μF
C2= 0.134 μF

同じく1kHzの偏差を0dBに設定すると高域側は+0.4dB、低域側はうねりはありますが+0.3dBのところまで追い込めました。1kHzの偏差を0にしていますが+0.2dB側に中心を移すと全帯域で±0.2dBの偏差に収まっています。実際に製作するわけではないことと、仮設定した内部抵抗値も正確ではないことからNABの調整についてはここまでとします。

②COLUMBIA / LP
R1= 400 Ω
R2= 600 Ω
R3= 250 Ω
R4= 500MΩ
Ro= 600 Ω
R11=8 Ω
R22=5 Ω
L1= 0.76 H
L2= 0.06 H
C1= 2.12 μF
C2= 0.1668 μF

Columbia/LPカーブは理論値+内部抵抗の組み合わせで高域側はほぼ偏差ゼロ、低域側のみ-0.2dB(@10Hz)に収まりましたのでこれ以上の調整は不要としました。

③FFRRカーブ
R1= 360 Ω
R2= 600 Ω
R3= 320 Ω
R4= 500MΩ
Ro= 600 Ω
R11=6 Ω
R22=5 Ω
L1= 0.57 H
L2= 0.032 H
C1= 1.59 μF
C2= 0.088 μF

FFRRも出力特性偏差が0.2dBに十分入っていますのでこれもOKとします。

④AESカーブ
R1= 516 Ω
R2= 600 Ω
R3= 91 Ω
R4= 500MΩ
Ro= 600 Ω
R11=30 Ω
R22=5.5 Ω
L1= 2.94 H
L2= 0.045 H
C1= 8.18 μF
C2= 0.125 μF

10Hzで偏差-0.4dBまで広がりますが、25Hzまで-0.2dBの範囲に収まります。

⑤OLD RCAカーブ
R1= 429 Ω
R2= 600 Ω
R3= 206 Ω
R4= 500MΩ
Ro= 600 Ω
R11=12 Ω
R22=5.5 Ω
L1= 0.8 H
L2= 0.038 H
C1= 2.21 μF
C2= 0.106 μF

全体で若干ハイ上がりの傾向はありますが、偏差はー側が0.2dB、+側は0.1dBに収まっていますのでこれも終了とします。


LCRフォノイコライザに関する考察は、ひとまずここで終了とします。
※今回導出した各カーブに対するLCRの設定値はあくまでも計算値であり、実特性を保証するものではありませんので、参照する場合は自己責任でお願いします。また考え方や計算結果に間違いを見つけた方がいらっしゃいましたコメント等に連絡いただければ幸いです。

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