ブリッジT型定インピーダンスLCフィルタの考察(番外編)

 最近、LCR型のRIAAイコライザや その考えから発展させた低域ブースター、トーンコントロール回路について記事を書いています。これらは全てブリッジT型定インピーダンスLCフィルタです。全周波数帯域で入力インピーダンス一定、出力インピーダンス一定、フィルタの特性は全て6dB/oct(=20dB/dec)の傾斜を持っていることが特徴です。記事の中ではいつも減衰率Kが登場します。フィルタ回路の入力電圧をEi、負荷への出力電圧をEoとしたとき、Ei/Eo=K(K>=1)が成り立つというやつです。パッシブ回路では出力電圧は必ず入力電圧より低くなるのでK>=1については感覚的にも納得できるものと思います。最初に記事にしたLCRイコライザのターンオーバー部の証明でT1/T2=Kが出てきたときにはまだ?マークが頭の中で飛び交っていました。それが落ち着いたのは次の点に気づいた時でした。6dB/octのoctはオクターブ、即ち周波数が2倍になる区間を指しており6dBは2倍であるので、このフィルタの遮断カーブは遮断側の周波数と通過側の周波数の倍数差とその両側の減衰差が一致するということ。このブリッジT型のLCフィルタはRIAAのイコライザのターンオーバー側で使うときには規定によりT1,とT2が50Hzと500Hzの10倍差に設定されているので、その両端の利得の差は10倍(20dB)となるのは当たり前と納得したことですべてが腑に落ちました。次に記事にした低域用ブースター回路は、RIAAの低域上昇20dBはブースト量は多すぎるものの低域側を持ち上げることができそうなこと、この通過側と遮断側のTの幅をコントロールすれば低域側の上昇量がコントロールで来そうなことT1とT2を10倍に設定すれば上昇量は20dB、2倍に設定すれば6dB、その中間の設定も可で1より大ぎりぎりまで自由にできることがわかりました。T1とT2を上の周波数帯に移動させれば高域の下降回路にも使えるとなったったころでトーンコントロールへの発展性が見えてきてブリッジTのLとCの位置を入れ替えると逆特性(低域下降、高域上昇)も再現できるということでついにトーンコントロールまで行きついてしまいました。次回の記事で低域増強8段、減衰8段、高域増強8段、減衰8段のLCRトーンコントローラの設計について記事にしたいと思います。フラットポジションを入れると低域側17通り掛ける高域側17通りの全289通りの組み合わせを実現できるものですがコイルが64個も必要となるため仮にコイル1個¥2,000でもコイルだけで¥128,000という超ド級のもなとなってしまい現実味はあまりありませんが、記事として残しておくぐらいなら構わないかと考えました。楽しみにしている人がいるともあまり思えませんが、乞うご期待。

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