600Ω定インピーダンス型LCRイコライザユニットの設計・製作④

今日の記事は今回設計・製作を行うEQユニットに必要な各種カーブを構成するLCR値の算出について書いていきたいと考えていますが、まずそれに先立って必要なカーブについておさらいをしたいと思います。
①RIAA, ②FFRR, ③Old RCA, ④Columbia LP, ⑤AES, ⑥NAB
 当初上記の6種類カーブを実現することを目標に設計を始めました。
この中でAESとOld RCAについては高域側ロールオフの設定が二種類混在していること(ただし二種類の片方はRIAAと同じもの),AESについては低域側ターンオーバーにLOW LIMITがないことに端を発する新カーブの追加を新たに行うことにしました。すべてのカーブの高域側と低域側の組み合わせを実現するにあたり、高域側の設定について同じ設定を違うカーブで共有していることもある為、高域と低域はセレクタを別に設けることとしました。またこうすることによって上記のカーブに加えてTELDECカーブにも対応可能です。(TELDECは低域側はRIAAと同じ、高域側はFFRRと同じ)
 上記⑤のAESは高域側2種類、低域側2種類の組合わせになる為4通りのカーブが再現できます。
また実質⑦としてTELDECカーブも追加できますので、有効なカーブ数は全部で10種類ということになります。これに対応するLCR値の計算は、以前記事にした計算方法でコイルの内部抵抗0時の理想計算ができます。
その結果を表にすると下記の通りになります。

 このLCR値を基準としてコイルの内部抵抗分(ゼネラルトランスのEQ用コイルの抵抗値を参考に)を加味(推測)して自作のエクセルシミュレータにて、今回のLCR設計値を求めました、その結果が下表です。この値の値を使った場合の利得誤差をグラフ化した結果、すべてのカーブでの利得誤差は10Hz~40kHzの範囲で最大でほぼ0.15dB以内に入ることが確認できました。またインピーダンスのばらつきも600Ωに対して±15オームの範囲内に追い込めています。この値を設計値にすることを決定しました。


次回の記事ではまずL値を実現する自家巻きのインダクター製作に触れたいと思っています。

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