600Ω定インピーダンス型LCRイコライザユニットの設計・製作⑥

LCRイコライザの信号分岐。
もともと私が所有しているイコライザアンプは600Ω回路にRIAAのLCRイコライザを入れたものですが、多カーブ対応の本機のコンセプトは増幅回路を持たせず、イコライジング機能に特化したものを想定していたためイコライザ前後の増幅回路は、自己所有のイコライザアンプを流用することにしました。RIAAに対しては特に不満があるわけではない為、600Ωラインのイコライザの入り口と出口にバイパス用のスイッチを設けて、今回製作する本機との信号のやり取りを行えるように改造し、元のRIAAイコライザも選択できるようにしました。(新規のイコライザユニットにも別途RIAA回路は設定しています)

※元々のLCR EQアンプです

※中央奥の4つのキャノン端子で600Ωラインの信号を出し入れします


BOXの選定。
TAKACHIのBOXはとても使いやすくデザインもいろいろあっていいのですが、値段が高いのがネックです。もともとあまり部品と手造りのインダクタでLCR-EQを製作するのが今回のコンセプトなのでとにかく安いBOXを探したところいいものを見つけました。奥澤のOシリーズです。元々持っているイコライザアンプの下に本機を設置する予定なので横幅300mm奥行400mmのO-2を選択しました。(実勢価格は約3,000円強で底板無)
底板は1.2mm厚のアルミ板を別途購入してその底板に部品類を配置することとしました。
安く上がりそうなのはいいのですが、セレクタ類とコネクタ類がBOX側、その他のLCR類が底板側に分かれてしまうため、BOXと底板の間を渡る配線類の始末が少しめんどくさいことになってしまいました。またO-2は非常に薄型で高さが70mmしかない為、インダクタコイルの固定方法と、CR基板の2段設置には若干苦労することになりました。

※奥澤の薄型BOXと今回大活躍のLCRメータ(約20年前に購入した台湾Lutron製)


Seidenセレクターのノッチ数の変更
Seidenの32NEGセレクタのノッチ数(ポジション数)は変更することが可能です。
1段ごとに2回路となっている場合は、回転角180度で2回路目に移るので回転30度間隔のタイプでは最大6ポジション(0-5ポジ)が設定可能。(0,30,60,90,120,150°)


変更の手順は以下の通りです。
上面のシャフト回りにあるビス2本を緩める(決して抜いてはいけない)
右側の写真に示している2本のリングにはストッパーがついているのでそれを必要なノッチ数の位置に回して合わせる。回転の左端の位置は変えないことが基本で必要な右端位置のストッパーをずらす。
※右写真の天板近傍に2枚のストッパーリングがあります
32NEGは30度単位でノッチが刻まれている構造なので全6ポジションの場合、左端から5ノッチ分(=30度×5=150度)回したポジションで止まるようにストッパーをSETする。ストッパー(回り止め)の位置が決まったら緩めていた上面のビス2本を締め付ける。32NEGの各ポジションの端子は15度ごとに出ているので、1個飛びで配線する(ノッチ位置ごとの摺動子の位置を確認して配線する)
以上。
AESカーブのLOW LIMITを2種類用意するため6ポジションでは足らなくなってしまった(ターンオーバー側は全7回路)のでセレクタは6ポジションで、セレクタの後にAESのLOW LIMITセレクタを別途トグルスイッチで設定するようにしました。高域は全てのカーブに対応するためには4ポジションが必要なので、ノッチ数を4ポジションになるように設定しました。
CR基板の作成
本機はターンオーバー側7回路、ロールオフが4回路の組み合わせで構成されます。これらに必要なCR類はユニバーサル基板上に設置することにしました。(Lは別設置)ユニバーサル基板は160mm×115mmのものを4枚用意して、基板を区分けして それぞれの回路のCRを配置しました。


BOX筐体内で基板は2段重ねの配置としました。使用するCR類は手持ちで定数の合うものは流用し、足りないものは購入するスタンスで進めましたが、ほとんどは新規の購入となってしまいました。
CRで必要な定数にぴったりと合ったものは基本手に入りませんのでE12系列とかE24系列の組合せで定数を実現しています。(C,Rともに基本並列3本で必要な定数を実現する)
購入する本数が多くなってしまっているので、単価はできるだけ安いもの(CもRも1本100円まで)で選ぶようにしました。また一度組んでから、誤差測定を行って誤差分を吸収するために追加のCRを配置したり定数の変更をしています。結果数値的には全てのCR値の誤差は1%以内に収める事が出来ました。実際の偏差がどの程度に収まるかとは別問題ですが・・・
またユニバーサル基板の裏側(実配線部分)はとても人様にお見せできる仕上がりではないことをお断りしておきます。
今回の使用部品と購入品のリストです。
製作決定時は手持ち部品の流用・活用(セレクタ、電線類、コネクタ類、一部CR)で総コスト2万円未満を目指していましたがCR類やBOX関連の購入費がかさみ、倍くらいの費用が掛かってしまっています。ハンダや電線類の追加購入も少し痛かったです。


色付きセルは手持ちのパーツを使用したため出費ゼロの項目です。

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