スピーカー・ユニットの自作⑤

全体図です。
各部の説明です。
①フィールド・コイルのエナメル線
②ヨーク・フロントメインプレート
③センター・ポール(ポール・ピース)
④ベークライト・ダンパー(2枚)
⑤ヨーク・サイドプレート
⑥ヨーク・リアプレート
⑦ボイスコイル
⑧ボイスコイル・ボビン
⑨ヨーク・フロントサブプレート
⑩コーン紙
磁気回路とボイスコイルまわりの設計
前回までの設計でフィールドマグネットのセンターポールの直径をφ28.0,ボイスコイルボビンの巻き直径φ28.6, ヨークのトッププレート開口部直径はφ31.0と決めています。この条件のもとでボイスコイルの巻線部分の設計とボビンの設計を行います。思想はショートボイスコイル/ディープギャップです。ヨークのトッププレートの厚みは9mmですが磁気ギャップを深くするため3mm厚のサブプレートをトッププレートを挟み込む形で2枚設置します。結果トッププレートの実質上の厚みは15mmとなりこの15mmの中でショートボイスコイルを動作させます。φ28.6のボビン外周に巻くコイル1周の長さは8.985mmとなります。15mmの磁気ギャップを巻線幅、フロント側ストローク、リア側ストロークに3等分してみるとストロークは前後に各5mm、巻線幅は5mmとなります。仮にφ0.2mmのエナメル線を5mm幅の中に均等に巻くとすると25周巻くことができます。ボイスコイルの引き出し線を1方向にするためには2段、4段といった偶数段巻く必要がありますが、2段巻きが一般的であるため、2段巻きで考えるとボイスコイルは全部でボビンに50周巻くことができ、この時の線長は4.49mとなります。φ0.2のエナメル線の抵抗率は607.6Ω/kmというカタログデータを参照すると4.49mの線長にて直流抵抗値は2.73Ωとなります。ボイスコイルインピーダンス8Ωのユニットの直流抵抗値は一般的に6Ω程度となることを考えると計算結果の2.73Ωは低すぎるためφ0.2のエナメル線を使用するなら4段巻にするか巻線幅を倍増させる必要があります。
巻線幅を増やすとストローク量が減り、4段巻は製作の経験値がないため、うまく巻けるかどうか不安があります。どちらも避けるとすると使用するエナメル線を細くするしかありません。配線を細くすれば単位長さ当たりの抵抗率が上昇し、配線長も長くなるため直流抵抗を増やすためには一石二鳥です。線径をフィールドコイルと同じφ0.18に変更して再計算してみます。2段巻での巻き数は5mm幅で56周となり線長は5.03mとなります。抵抗率は757.2Ω/kmですからコイル配線の直流抵抗は3.81Ωとなります。直流抵抗6Ωにはまだ足らない状態です。この不足分を巻幅の若干の増加で補うことにします。6/3.81=1.57ですから巻幅を1.57倍してみると5*1.57=7.9mmとなります。この時のストロークは前後に各3.55mmです。ストロークが若干減ってしまいましたが、家庭用には充分と考えこのバランスで設計することにします。φ0.18は1段当たり44周巻くことができるので2段で88周、線長は7.91mとなります。この時のコイル配線の直流抵抗は5.99Ωとなりほぼ6Ωを満足させることができます。次にボビンの幅について考えます。今回設計するユニットはエッジレスとしたいため、ボイスコイルボビンにはダンパーを2か所取り付ける必要があります。コーン紙を傾きなく保持するためにはボイスコイルの前後等距離のポイントで保持させるのが効率がよいと思います。デザインバランスを考え、ボビン幅は32mmとしそのセンターにコイル巻線を配置することとしました。ボビン材料はコーン紙で狙っている渋紙を使用する予定です。
以下にボイスコイルの設計図を掲示します。


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